2009-11

vol.8 「バッハへの道」

今日の教材は『バッハへの道 1(原題・Die Polyphone Klavierfibel)』です。






この教材には、まえがきにもあるように、


●バッハの<インヴェンション>、組曲、フーガを学習者に親しませる

●両手の独立を習得し、正しい運指法を身につける

●楽しく勉強し、よく聴き、よく注意することを大切にする


ということを念頭に編纂されています。


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◆今日のチェックポイント◆
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この教材の第一目標は、

「バッハを勉強するための前段階でポリフォニーを学ぶ」

ということにあります。


ですから、この教本を、「ポリフォニーの入門書」と言っても差し支えないでしょう。


この教本を学ぶことで、バロックの巨匠、バッハへと導くことを目標にしています。

この教本は3巻で成り立っており、段階的に構成されています。



■1巻〜ポリフォニーの入門(童謡、民謡をポリフォニーに作り直した)


■2巻〜巨匠の小品を学習(「アンナ・マグダレーナのためのクラヴィーア小曲集」
     「ヴィルヘルム・フリーデマン・バッハのためのクラヴィーア小曲集」より)


■3巻〜バッハと息子の小品とJ.Sバッハの作品を学ぶ(エマヌエル、フリーデマン、
     クリストフ、フリードリヒ、クリスチャン)



これらを段階的に学ぶことで、ポリフォニーの音楽を学ぶ礎を
強固にしようとする教本と言えるでしょう。



また、ショルツは、

「全て学ぶためには3〜4年かかる」
「ピアノ学習2年目から開始してよい」
「本書を終えたら『インヴェンション』『フランス組曲』へ進むがよい」


と記しています。



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(2)◆ポリフォニーを学ぶ良書

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ポリフォニー音楽を勉強するための教本です。


ある程度ピアノ学習が進んで、これから本格的にピアノの道へ進みたいとする
ピアノ学習者には非常に有効な教本でしょう。



これらポリフォニーの基本的な知識、テクニック無しで、いきなりバッハの曲を
弾くとなると、かなりの労力と忍耐力が必要になるでしょう。


バッハはそれだけ深遠で、入り組んだ音楽を書き残していますから、それらを
上手に勉強するためにも、この教材は非常に活用できるものと思います。



収められている曲は、おおかたが「右手の旋律から始めて、左手がそれを追いかける」
カノンやコラールの曲で占められています。



各曲にはタイトルが付けられており、練習するときのストレスを軽減させるこ
とに貢献しています。また、イメージもこれによって湧くでしょう。



私はこの教材を生徒さんの、「初見の練習」にも使用しています。


2つの旋律を同時に追いかけるためには、素早い目の動きと、良い耳が必要です。

これらを初見で行う訓練を積むことで、非常によい勉強になります。


最初はかなり苦労するかもしれません。しかし、やり方を丁寧に指導し、
励まし、やり遂げることを褒めることで、達成感を味わせたいものです。


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■基本データ
音楽之友社  \1155

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vol.7 「夢みるピアニスト 幼児のピアノ入門」

今回の教材は、田丸信明先生の「夢みるピアニスト 幼児のピアノ入門」です。







田丸先生の主な著書をご紹介します。


●「ぴあの どりーむ」シリーズ
●「新版おんがくドリル」シリーズ
●「ピアノの森」
●「ピアノフレンド」
●「ゆびのたいそう」
●「新編こどものハノン」
●「新版こどものブルクミュラー」

ほか多数。


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◆今日のチェックポイント◆
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この「夢みるピアニスト 幼児のピアノ入門」は、
「夢みるピアニスト第1集」への準備のための教本です。


この教材では「中央ハ」を左手の「5」の指で弾かせ、オクターブ上の
「高いド」を右手の「1」の指で弾かせます。

つまり右手も左手もト音記号。

これは上巻すべて、下巻の29番「ゆうべのほし」までずっと続きます。


若干、ヘ音記号の出現が遅いか、という意見もありそうですが、
導入の教材としては、取り組みやすい方法だと思います。


ですが、バイエル同様、途中ヘ音記号が説明なしに出現するので、
若干混乱する可能性もあるかもしれませんね。


それを察してか、*注に「低音部記号に早く慣れさせるために、全音符に自分
の好きな色を塗らせるのもひとつの方法です」
とあります。



上巻の「もりのあさ」まで、左手の伴奏が「ド」と「ソ」のみ。
「いしけり」から左手の伴奏が動きます。


また上巻56番の「ちょうちょう」で左手が2音和音の伴奏となります。
「ドソミソ」といういわゆるアルベルティバスは、下巻の57番になってやっと
出てきます。



「ゆびのたいそう」という数小節のエチュードが挿入されていて、曲だけでは
補いにくい指のトレーニングも取り入れています。

これは短いだけに、小さい子も取り組みやすいですので、上手に使用して
少しずつ、いろんなテクニックを学ばせたいものです。


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◆教材の自由度が高く、講師の使い方もいろいろ

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音符や楽語などの解説が極力省略されているので、こどもたちの理解度を高め
るのは、指導者の裁量にまかせている部分が大きいと思います。


この教材を使って、いかに楽しく指導するかは先生の腕にかかっている、と
言えるでしょう。



こういう教材を使用するときは、とにかくどんどん進むべきでしょう。

一曲に時間をかけていると、生徒さんが飽きます。また、時間をかけてきちん
と仕上げる理由もあまりありません。


例えば、音符の名称を覚え、長さも理解できて、ある程度弾けたら○をあげる。


とにかく両手奏に早く慣れさせて、できる子には伴奏の形をどんどん変えて
弾かせます。
伴奏が単純な分、いろいろな形に変化させて、たくさんの伴奏型
に慣れさせることで、楽しさが増します。


子供たちがよく知っている曲を取り上げているので、割とすんなり教材に
入っていけることでしょう。


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■基本データ
ドレミ楽譜出版社 \840(税込)

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vol.6 「小さなピアニストの ピアノエチュード」

今日の教材は、成田剛先生の「小さなピアニストの ピアノエチュード」です。


このテキストは、導入の生徒さんに使用できるテキストで、
小学1・2年生を主に対象としています。


毎週1節を進むことを目標に、「はじめてのソルフェージュ」と
合わせて指導すると効果的になるように構成されています。



以下、この教材の要点をまとめてみます。


●幼児の場合はたっぷり時間をかけて、他の教材とソルフェージュと共に
 レッスンすると効果的である。

●子どもがすぐとけこめるように、題名や歌詞に気を配っている

●弾くときは、必ず自分の手をみて弾くこと、先生の手の形を
 いつも頭に思い浮かべて弾くこと



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◆今日のチェックポイント◆
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この教材は、

「子どもたちを『ピアノは素敵、音楽が大好き』というように育てたい」

というところに目標を置いています。


そのために、手の形にあまり神経質にならないことを挙げています。

確かに、手の形は大切ですが、導入期の指導の際、あまりに手の形に
こだわり過ぎると、楽しいピアノも楽しくなくなってしまいますよね。



多くの導入本と同じく「中央ハ」から広がっていくメソッドです。


また、各曲に歌詞がついていて取り組みやすくなっています。
やはりこどもは歌を歌うことが大好きです。


たいていの導入本には、歌詞がついていることから、歌を歌うことの
効果が確かなものであると言えるでしょう。



先生との連弾ができるように伴奏がついています。
これも導入本には欠かせないものになっていますね。


一人で弾くと味気ない音楽が、先生と弾くことで音楽が広がりをみせるのは、
こどもにとってもワクワクするものなのでしょう。


指の動きを良くするための「トレーニング」が各所につけられていて、
テクニックの向上を目指しています。


また、楽語や強弱記号も豊富に学べるように配慮されています。


導入本としては、やや進度が早すぎるようなきらいはありますが、無理の無い
習熟を目指すように構成されていますので、問題はなさそうです。


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■基本データ 音楽之友社

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vol.5 「どれみふぁ どんぐり 1」

今日の1冊は、江口寿子先生の「どれみふぁ どんぐり 1」です。






この教本は、前回ご紹介した、「がんばれキャッツ」との
併用のために作られたものです。



教本の最初にある「最初に質問形式により、読譜について語る」から
読譜について要約してみます。


1巻・・・★3才での読譜は難しい。4才は子供による。5歳はほとんど大丈夫。
     ★「かたまり読み」を提案。教本を終わらすのには半年〜1年。
     ★手を見て弾く癖を否定
     ★絵符で読譜を学ばせる
     ★日本のピアノ教育に根強く残る「厳しいレッスン」を否定。
      子供に伝えるべきなのは、音楽の楽しさや快さだけ、とする。


2巻・・・★ピアノを始める低年齢化のために「絵符」を提案。はじめたその日
      から弾くことを楽しませるため。
     ★連続置換作業をピアノを弾くときの欠かせない能力とする。



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◆今日のチェックポイント◆
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この教材の特徴を挙げてみます。


導入の最初期のレッスンのために作られた教材なので、
とにかく「弾く楽しさ」を感じてもらえるように構成されています。


そのため、音符が読めなくても弾けるように、
『絵符』を考案し、採用しています。


例えば「ド」はどんぐりの絵、「レ」はレモンの絵が描かれていて、音符が
読めなくても絵でピアノが弾けるようなシステム。


幼児でも分かりやすい「絵」を音符に当てはめることによって、
まったくの初めてのお子さんでも、ピアノが弾けるようになります。


この「初めてなのにピアノが弾けた」という、小さな成功体験は、
幼児にとっては、この上ない喜びとなるでしょう。


「弾ける喜び」を感じた子どもは、ここから始まるピアノ学習を、
良い体験としてスタートできることでしょう。



また、テクニックは幼時でも段階的につけられるように、
無理なく進められるように配慮されています。


すべての曲に歌詞がついていて、曲に対するイメージが
湧きやすいように配慮されています。


幼児は、やはり歌が大好きですから、導入教材には歌や、
歌詞が必須のものとなっていますね。


それに伴い、江口さんは「歌いながら弾かせるような指導」
望ましいとしています。


歌うことは、これからのピアノ学習の上で、非常に重要な要素となります。
なぜなら、歌うことが出来る子は「ピアノでも歌える」子になるからです。


そういう点においても「歌いながら弾かせる」指導は、大切ですね。



また、先生と一緒に楽しくピアノが弾けるように、
連弾の曲が多く掲載されています。


ピアノが弾けるお母様でしたら、家での練習も連弾で楽しくできますね。


また、前回ご紹介した「がんばれキャッツ」と併用すると、
なお一層効果的です。



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■基本データ
定価1260円(税込) 共同音楽出版社

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Copyright(c)2009 Takuhro TO All Rights Reserved.

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vol.4 「がんばれキャッツ 導入用」

今日の教材は、江口寿子先生の「みんなのピアノ教室 がんばれキャッツ」です。






「はじめに」、の中で江口先生は全調メソードを導入時期に
使用することを大変危惧してらっしゃいます。

ちょっと引用させていただきます。


「(中略)全調メソードをそのまま使って導入できるのは少なくとも
8才以上くらいの生徒からであり、幼児の指導には適していません」
                    (がんばれキャッツ 導入用より)


これはおそらく、全調メソードを使うことによって幼児期に大切な
「絶対音感」を身に付けることが困難になるため、と思われます。


またこの教材の目的として、導入用では、


【1】左右の手の区別
【2】白黒の色の識別
【3】1から5までの数字の判読
【4】指番号の学習
【5】音名の学習
【6】鍵盤名の学習
【7】読譜の連続置き換え作業を身に付ける


を挙げています。


これらは「ピアノを学んでいく上で前もって身に付けておかなければ
ならないことのすべて」を習得するためのものです。


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◆今日のチェックポイント◆
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ピアノ教育の最初期に使用することが可能です。

音名とことばの一致で覚えさせるようにしています。例えば、


【ド】〜どんぐり
【レ】〜レモン
【ミ】〜ミカン
【ファ】〜ふえ
【ソ】〜ソックス
【ラ】〜ラッパ
【シ】〜シャツ 



この教材の特徴は、

「導入用では音名読み、1巻ではかたまり読み、2巻では模様読み」
を提案していることです。

ちょっと解説しますね。



「音名読み」とは、五線上の音名そのものを読む読譜のこと。

「かたまり読み」とは、和音のかたまりをパターンとして記憶、その中の構
成音を意識して記憶、かたまりをくずしながら構成音を単独で読めるようにする
もの

「模様読み」とは、音の前後関係を相対的に読む読譜のこと。
音の進行を音程の差による「模様」のように読譜する
こと


これらの読譜を各巻で習得できるように構成されています。



また、江口先生は指使いの書き過ぎに警鐘を鳴らしています。


指使いを書きすぎると、意識が音名から離れて、
指番号だけを見て弾くこと
になってしまいます。


つまり音符が読めないで弾けてしまうのはダメ、と言うことですね。

あくまで音符を正確に読むことを重視しています。



暗譜についても、この教材においては必要ない、としています。
それよりも「楽譜から目を離さずに手元を見ずに弾くこと」を重要視しています。



またこの教材は、「ピアノのドリル」を併用すると、さらに効果的です。


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■基本データ
定価1260円(税込)、共同音楽出版社

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プロフィール

ピアノ教室コンサルタント

Author:ピアノ教室コンサルタント
ご訪問ありがとうございます。
ピアノ教室コンサルタントの藤 拓弘です。

この教本ブログでは、「ピアノ教本・ピアノ教材」を一冊ずつご紹介しています。

私もピアノ講師として、ピアノ教本選びの大切さを痛感しています。

「ピアノを好きになってもらいたい」という気持ちが、私の原動力となり、「ピアノ教本・教材研究」を続ける力となっています。

また、教本研究は、著者の先生の、「レスナーとしての素晴らしい技術を学ぶこと」にもつながります。

皆さんと「ワンランク上のレスナー」を目指すブログを目指したいと思っています。

※最新の教材研究をお読みになりたい方は、「1冊3分で分かる!ピアノ教本マガジン」を合わせてお読みください。

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